シェンゲン協定(入国管理システム)

日本人がシェンゲン圏内を旅行する際、パスポートやビザは必要ですか?

日本など非EU諸国に国籍を有する人が、シェンゲン圏内に入域する際、および圏外に出域する際には旅券(パスポート)の審査を受けます。いったん入域すれば、圏内の移動の際に国境検査や出入国審査はありません。実際には、協定締結国間の陸路の国境では、ほとんどの検問所が閉鎖あるいは撤去されています。
しかしながら、日本を含む第三国の国民がパスポートを携行せずに域内を自由に移動ができるわけではなく、随時身分証明書の提示を求められることがあるため、旅行者は、パスポートを携行して移動する必要があります。
日本人の場合、シェンゲン圏への滞在は、90日以内の観光など非営利活動目的の場合は、査証(ビザ)が免除されます(シェンゲン圏以外のEU加盟国についても同様)。しかし、シェンゲン圏での滞在が90日に達した後、再びビザなしでシェンゲン圏に入域するには、最初の入国日から6カ月経つのを待たなければなりません。また「90日」は「連続」でなく、「合算」ですので、6カ月以内に出入りを繰り返し、その合計が90日を超える場合は、ビザなしでの入域ができなくなります。ただしオーストリアに限っては、日本との二国間の取り決めにより、ビザ免除の上限は6カ月となっています。
ビザはシェンゲン圏内共通のシェンゲン統一ビザとなります。申請する場合は、主な滞在国あるいは最初の入域国の在日大使館や領事館で手続きを行います。なお、シェンゲン・ビザを取得し、シェンゲン協定締結国の一国で滞在許可証を交付された場合でも、その他のシェンゲン協定締結国に滞在できるのは90日間が上限です。

シェンゲン協定とその圏内とは?

EUの母体である欧州経済共同体(EEC)の設立条約(ローマ条約、1958年発効)において、加盟国間で人、物、サービス、資本が自由に移動できる共同市場を創ることが目指されました。その後、1985年に西ドイツ、フランス、ベルギー、オランダ、ルクセンブルクの5カ国が「人の移動の自由」の実現に向けて、域内国境を段階的に撤廃することに合意したのが「シェンゲン協定(The Schengen Agreement)」です。同協定は、当時の欧州共同体(EC)の枠外で締結されました。名称は、締結地であり、フランスとドイツの国境が交わる、ルクセンブルクの小さな村シェンゲンに由来します。
1990年には、域内の出入国管理をどのように廃止するか、そのためにどのような施策が必要かを定めた「シェンゲン協定を施行するための協定(The Convention implementing the Schengen Agreement)」が調印され、1995年3月にようやく実施の運びとなりました。つまり締結国どうしの間では出入国管理が撤廃されると同時に、域外国境の出入国管理を締結国間で調和させることになったのです。
1997年に、前述の2つの協定が他の関連法規とともに、EUの改正基本条約「アムステルダム条約」に附属議定書として組み入れられ、「人の移動の自由」がEUの法体系の中で保障されるようになりました(条約の発効は1999年)。ただし英国とアイルランドは、国境を越える犯罪対策の条項など部分的に合意しましたが、国境検査は維持することとしました。

なおシェンゲン協定では以前から、公共の秩序や治安上の観点から必要と考えられる場合、短期的に国境管理を実施することが認められています。例えばサッカーの欧州選手権やワールドカップ、主要国首脳会議といった大規模なイベントの開催や、テロ発生後の警戒態勢といった特別な場合には、域内の移動であっても国境検査が行われることがあります。

地図では以下の3パターンにて塗り分け表示をしています。
青:シェンゲン協定を締結しているEU加盟国
赤:シェンゲン協定を締結していないEU加盟国(実効していない国)
橙:シェンゲン協定を締結しているが、EUに加盟していない国